らいうと、うまく媾和《こうわ》の役目をやり終《おお》せて帰るよりも遥《はる》かに重大な用向《ようむき》であった。
津田に隠さなければならないこの用向は、津田がお延にないしょにしなければならない事件と、その性質の上においてよく似通っていた。そうして津田が自分のいない留守《るす》に、小林がお延に何を話したかを気にするごとく、お延もまた自分のいない留守に、お秀が津田に何を話したかを確《しか》と突きとめたかったのである。
どこに引《ひっ》かかりを拵《こしら》えたものかと思案した末、彼女は仕方なしに、藤井の帰りに寄ってくれたというお秀の訪問をまた問題にした。けれども座に着いた時すでに、「先刻《さっき》いらしって下すったそうですが、あいにくお湯に行っていて」という言葉を、会話の口切《くちきり》に使った彼女が、今度は「何か御用でもおありだったの」という質問で、それを復活させにかかった時、お秀はただ簡単に「いいえ」と答えただけで、綺麗《きれい》にお延を跳《は》ねつけてしまった。
百二十五
お延は次に藤井から入って行こうとした。今朝《けさ》この叔父《おじ》の所を訪《たず》ねたと
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