いて来たがります。しかし僕はまた妹をどうしても伴《つ》れて行く事ができないのです。二人いっしょにいるよりも、二人離れ離れになっている方が、まだ安全だからです。人に殺される危険がまだ少ないからです」
 お延は少し気味が悪くなった。早く帰って来てくれればいいと思うお時はまだ帰らなかった。仕方なしに彼女は話題を変えてこの圧迫から逃《のが》れようと試みた。彼女はすぐ成功した。しかしそれがために彼女はまたとんでもない結果に陥《おちい》った。

        八十三

 特殊の経過をもったその時の問答は、まずお延の言葉から始まった。
「しかしあなたのおっしゃる事は本当なんでしょうかね」
 小林ははたして沈痛らしい今までの態度をすぐ改めた。そうしてお延の思わく通り向うから訊《き》き返して来た。
「何がです、今僕の云った事がですか」
「いいえ、そんな事じゃないの」
 お延は巧みに相手を岐路《わきみち》に誘い込んだ。
「あなた先刻《さっき》おっしゃったでしょう。近頃津田がだいぶ変って来たって」
 小林は元へ戻らなければならなかった。
「ええ云いました。それに違ないから、そう云ったんです」
「本当に津田
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