ったまま、目下自分と津田との間柄《あいだがら》は、はたしてどんなところにどういう風に関係しているかを考えなければならなかった。彼女はありのままその物を父母《ふぼ》に報知する必要に逼《せま》られてはいなかった。けれどもある男に嫁《とつ》いだ一個の妻として、それを見極《みきわ》めておく要求を痛切に感じた。彼女はじっと考え込んだ。筆はそこでとまったぎり動かなくなった。その動かなくなった筆の事さえ忘れて、彼女は考えなければならなかった。しかも知ろうとすればするほど、確《しか》としたところは手に掴《つか》めなかった。
 手紙を書くまでの彼女は、ざわざわした散漫な不安に悩まされていた。手紙を書き始めた今の彼女は、ようやく一つ所に落ちついた。そうしてまた一つ所に落ちついた不安に悩まされ始めた。先刻《さっき》電車の中で、ちらちら眼先につき出したいろいろの影像《イメジ》は、みんなこの一点に向って集注するのだという事を、前後両様の比較から発見した彼女は、やっと自分を苦しめる不安の大根《おおね》に辿《たど》りついた。けれどもその大根の正体はどうしても分らなかった。勢い彼女は問題を未来に繰り越さなければならな
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