たしは御免蒙《ごめんこうむ》ってお先へお湯に入ろう」と云いながら立ち上った。
叔父の潔癖を知って、みんなが遠慮するのに、自分だけは平気で、こんな場合に、叔父の言葉通り断行して顧《かえり》みない叔母の態度は、お延にとって羨《うらや》ましいものであった。また忌《いま》わしいものであった。女らしくない厭《いや》なものであると同時に、男らしい好いものであった。ああできたらさぞ好かろうという感じと、いくら年をとってもああはやりたくないという感じが、彼女の心にいつもの通り交錯《こうさく》した。
立って行く叔母の後姿《うしろすがた》を彼女がぼんやり目送《もくそう》していると、一人残った継子が突然誘った。
「あたしのお部屋へ来なくって」
二人は火鉢《ひばち》や茶器で取り散らされた座敷をそのままにして外へ出た。
七十
継子の居間はとりも直さず津田に行く前のお延の居間であった。そこに机を並べて二人いた昔の心持が、まだ壁にも天井《てんじょう》にも残っていた。硝子戸《ガラスど》を篏《は》めた小さい棚《たな》の上に行儀よく置かれた木彫の人形もそのままであった。薔薇《ばら》の花を刺繍《
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