子さんはどうしたろう、どうしたろうって」
 神経質な叔父の態度は、先刻の失敗を取り戻す意味を帯びているので、平生よりは一層|快豁《かいかつ》であった。
「何でも継子さんに逢って、是非話したい事があるんだそうだ」
 こんな余計な事まで云って、自分の目的とは反対な影を、お延の上に逆《さかさ》まに投げておきながら、彼はかえって得意になっているらしかった。
 しかし下女が襖越《ふすまごし》に手を突いて、風呂の沸《わ》いた事を知らせに来た時、彼は急に思いついたように立ち上った。
「まだ湯なんかに入っちゃいられない。少し庭に用が残ってるから。――お前達先へ入るなら入るがいい」
 彼は気に入りの植木屋を相手に、残りの秋の日を土の上に費やすべく、再び庭へ下り立った。
 けれどもいったん背中を座敷の方へ向けた後でまたふり返った。
「お延、湯に入って晩飯でも食べておいで」
 こう云って二三間歩いたかと思うと彼はまた引き返して来た。お延は頭のよく働くその世話《せわ》しない様子を、いかにも彼の特色らしく感心して眺めた。
「お延が来たから晩に藤井でも呼んでやろうか」
 職業が違っても同じ学校出だけに古くから知り
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