謝すると共に、そんならなぜあの吉川夫人ともっと親しくなれるように仕向けてくれなかったのかと恨《うら》んだ。二人を近づけるために同じ食卓に坐らせたには坐らせたが、結果はかえって近づけない前より悪くなるかも知れないという特殊な心理を、叔父はまるで承知していないらしかった。お延はいくら行き届いても男はやっぱり男だと批評したくなった。しかしその後《あと》から、吉川夫人と自分との間に横《よこた》わる一種微妙な関係を知らない以上は、誰が出て来ても畢竟《ひっきょう》どうする事もできないのだから仕方がないという、嘆息を交えた寛恕《かんじょ》の念も起って来た。
六十四
お延はその問題をそこへ放《ほう》り出《だ》したまま、まだ自分の腑《ふ》に落ちずに残っている要点を片づけようとした。
「なるほどそういう意味|合《あい》だったの。あたし叔父さんに感謝しなくっちゃならないわね。だけどまだほかに何かあるんでしょう」
「あるかも知れないが、たといないにしたところで、単にそれだけでも、ああしてお前を呼ぶ価値《ねうち》は充分あるだろう」
「ええ、有るには有るわ」
お延はこう答えなければならなか
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