。なぜまたそんな事を真面目《まじめ》くさってお訊《き》きになるの」
「少しこっちにも料簡《りょうけん》があるんだ、返答次第では」
「おお怖《こわ》い事。じゃ云っちまうわ。由雄は御察しの通り厳格な人よ。それがどうしたの」
「本当にかい」
「ええ。ずいぶん叔父さんも苦呶《くど》いのね」
「じゃこっちでも簡潔に結論を云っちまう。はたして由雄さんが、お前のいう通り厳格な人ならばだ。とうてい悪口の達者なお前には向かないね」
 こう云いながら叔父は、そこに黙って坐っている叔母の方を、頷《あご》でしゃくって見せた。
「この叔母さんなら、ちょうどお誂《あつ》らえ向《むき》かも知れないがね」
 淋しい心持が遠くから来た風のように、不意にお延の胸を撫《な》でた。彼女は急に悲しい気分に囚《とら》えられた自分を見て驚ろいた。
「叔父さんはいつでも気楽そうで結構ね」
 津田と自分とを、好過ぎるほど仲の好い夫婦と仮定してかかった、調戯半分《からかいはんぶん》の叔父の笑談《じょうだん》を、ただ座興から来た出鱈目《でたらめ》として笑ってしまうには、お延の心にあまり隙《すき》があり過ぎた。と云って、その隙を飽《あ》くま
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