。まだ十六七にしかならないその看護婦は、何の造作《ぞうさ》もなく笑いながら津田にお辞儀《じぎ》をしたが、傍に立っているお延の姿を見ると、少し物々しさに打たれた気味で、いったいこの孔雀《くじゃく》はどこから入って来たのだろうという顔つきをした。お延が先《せん》を越して、「御厄介《ごやっかい》になります」とこっちから挨拶《あいさつ》をしたので、始めて気がついたように、看護婦も頭を下げた。
「君、こいつを一つ持ってくれたまえ」
 津田は車夫から受取った鞄《かばん》を看護婦に渡して、二階の上《あが》り口《くち》の方へ廻った。
「お延こっちだ」
 控室の入口に立って、患者のいる部屋の中を覗《のぞ》き込んでいたお延は、すぐ津田の後《あと》に随《つ》いて階子段《はしごだん》を上《あが》った。
「大変陰気な室《へや》ね、あすこは」
 南東《みなみひがし》の開《あ》いた二階は幸《さいわい》に明るかった。障子《しょうじ》を開けて縁側《えんがわ》へ出た彼女は、つい鼻の先にある西洋洗濯屋の物干《ものほし》を見ながら、津田を顧《かえり》みた。
「下と違ってここは陽気ね。そうしてちょっといいお部屋ね。畳は汚《よご
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