それから」
「京都から何とか云って来ましたかこっちへ」
 津田は少し真剣な表情をして、叔父と叔母の顔を見比べた。けれども二人は何とも答えなかった。
「実は僕の所へ今月は金を送れないから、そっちでどうでもしろって、お父さんが云って来たんだが、ずいぶん乱暴じゃありませんか」
 叔父は笑うだけであった。
「兄貴《あにき》は怒ってるんだろう」
「いったいお秀《ひで》がまた余計な事を云ってやるからいけない」
 津田は少し忌々《いまいま》しそうに妹の名前を口にした。
「お秀に咎《とが》はありません。始めから由雄さんの方が悪いにきまってるんだもの」
「そりゃそうかも知れないけれども、どこの国にあなた阿爺《おやじ》から送って貰った金を、きちんきちん返す奴《やつ》があるもんですか」
「じゃ最初からきちんきちん返すって約束なんかしなければいいのに。それに……」
「もう解りましたよ、叔母さん」
 津田はとても敵《かな》わないという心持をその様子に見せて立ち上がった。しかし敗北の結果急いで退却する自分に景気を添えるため、促《うな》がすように小林を引張って、いっしょに表へ出る事を忘れなかった。

       
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