ぱつ》まで弁護したくらいである。肋骨君の説によると、ああ云うぶくぶくの着物を着て、派出《はで》な色の背中へ細い髪を長く垂らしたところは、振《ふる》え付《つ》きたくなるほど好いんだそうだから仕方がない。実際肋骨君が振え付きたくなると云う言葉を使ったには驚いた。今でもこの言葉を考え出しては驚いている。いっぺん汚《きた》ない爺さんが泥鰌《どじょう》のような奴をあたじけなく頸筋《くびすじ》へ垂らしていたのを見て、ひどく興を覚《さま》したせいだろう。
これほどの肋骨君も正房の応接間は西洋流で我慢している。その隣の食堂では西洋料理を御馳走《ごちそう》した。それから襯衣《シャツ》一枚で玉を突く。その様子はけっして支那じゃない。万事橋本から聞いたより倍以上|活溌《かっぱつ》にできているところをもって見ると、振え付きたいは少々言い過ぎたのかも知れない。肋骨君は戦争で右か左かどっちかの足を失《な》くした。ところがそれがどっちだか分らないくらい、自由自在に起《た》ったり坐《すわ》ったりする。そうして軍人に似合わないような東京弁を使う。どこで生れたか聞いて見たら、神田だと云った。神田じゃそのはずである。要す
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