いんだね」
「えゝもう疾《と》うに。此處を退院なさると直《ぢき》でした、御亡《おな》くなりになつたのは」
自分は默然《もくねん》としてわが室《へや》に歸つた。さうして胡瓜《きうり》の音で他《ひと》を焦《じ》らして死んだ男と、革砥《かはど》の音を羨ましがらせて快《よ》くなつた人との相違を心の中で思ひ比べた。
[#地寄せ]明治四四、七、一九―二○
底本:「漱石全集 第17巻」岩波書店
1957(昭和32)年1月12日第1版発行
1960年9月10日第2版
入力:山田豊
校正:Juki
1999年12月18日公開
2001年4月21日修正
青空文庫作成ファイル:
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