信ずる。
この競争者の出かたである。出かたに二た通りある。一つは自分の縄張《なわばり》うちへ這入《はい》って来て、似寄った武器と、同種の兵法剣術で競争をやる。元来競争となるとたいていの場合は同種同類に限るようです。同種同類でないと、本当の比較ができないからでもあるし、ひとつ、あいつを乗り越してやろうと云う時は、裏道があってもかえって気がつかないで、やっぱり当の敵の向うに見える本街道をあとを慕って走《か》け出すのが心理的に普通な状態であります。すると同圏内で競争が起ります。この競争の刺激によって、作物がだんだん深さを増して来る。種類が同じだから深さ以外に競争のしようがないのであります。
今一つの競争は圏外に新手が出る事であります。これから新たに文壇に顔を出そうと機を覗《ねら》っている人、もしくはすでに打って出た人のうちで、今までのものとは径路を同じゅうする事を好まない事がないとも限らない。これは今までの作物に飽き足らぬか、もしくは、おれはおれだから是非一派を立てて見せると自己の特色に自信をおくか、または世間の注意を惹《ひ》くには何か異様な武者ぶりを見せないと効力が少ないとか、いろいろ
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