《からくわ》らしくてらてらした黄色い手焙《てあぶり》だのを眺《なが》めて、このしとやかで能弁な、人を外《そら》す事を知らないと云った風の母と話をした。
 彼女の語るところによると、須永は今日|矢来《やらい》の叔父の家《うち》へ行ったのだそうである。
「じゃついでだから帰りに小日向《こびなた》へ廻って御寺参りをして来ておくれって申しましたら、御母さんは近頃|無精《ぶしょう》になったようですね、この間も他《ひと》に代理をさせたじゃありませんか、年を取ったせいかしらなんて悪口を云い云い出て参りましたが、あれもねあなた、せんだって中《じゅう》から風邪を引いて咽喉《のど》を痛めておりますので、今日も何なら止した方がいいじゃないかととめて見ましたが、やっぱり若いものは用心深いようでもどこか我無《がむ》しゃらで、年寄の云う事などにはいっさい無頓着《むとんじゃく》でございますから……」
 須永の留守へ行くと、彼の母は唯一の楽みのようにこういう調子で伜《せがれ》の話をするのが常であった。敬太郎の方で須永の評判でも持ち出そうものなら、いつまででもその問題の後《あと》へ喰付《くっつ》いて来て、容易に話頭を改
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