との間柄を聞いた。そうして彼らは必竟《ひっきょう》夫婦として作られたものか、朋友《ほうゆう》として存在すべきものか、もしくは敵《かたき》として睨《にら》み合うべきものかを疑った。その疑いの結果は、半分の好奇と半分の好意を駆《か》って彼を松本に走らしめた。彼は案外にも、松本をただ舶来のパイプを銜《くわ》えて世の中を傍観している男でないと発見した。彼は松本が須永に対してどんな考でどういう所置を取ったかを委《くわ》しく聞いた。そうして松本のそういう所置を取らなければならなくなった事情も審《つまび》らかにした。
 顧《かえり》みると、彼が学校を出て、始めて実際の世の中に接触して見たいと志ざしてから今日《こんにち》までの経歴は、単に人の話をそこここと聞き廻って歩いただけである。耳から知識なり感情なりを伝えられなかった場合は、小川町の停留所で洋杖《ステッキ》を大事そうに突いて、電車から下りる霜降《しもふり》の外套《がいとう》を着た男が若い女といっしょに洋食屋に這入る後《あと》を跟《つ》けたくらいのものである。それも今になって記憶の台に載《の》せて眺《なが》めると、ほとんど冒険とも探検とも名づけよう
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