の叔父さえただ船に乗る事を知っているだけで、後は網だか釣だか、またどこまで漕《こ》いで出るのかいっこう弁別《わきま》えないらしかった。百代子の後《あと》から足の力で擦《す》り減《へ》らされて凹みの多くなった石段を踏んで行く僕はこんな無意味な行動に、己《おの》れを委《ゆだ》ねて悔いないところを、避暑の趣《おもむき》とでも云うのかと思いつつ上《のぼ》った。同時にこの無意味な行動のうちに、意味ある劇の大切な一幕が、ある男とある女の間に暗《あん》に演ぜられつつあるのでは無かろうかと疑ぐった。そうしてその一幕の中で、自分の務《つと》めなければならない役割がもしあるとすれば、穏《おだや》かな顔をした運命に、軽く翻弄《ほんろう》される役割よりほかにあるまいと考えた。最後に何事も打算しないでただ無雑作《むぞうさ》にやって除《の》ける叔父が、人に気のつかないうちに、この幕を完成するとしたら、彼こそ比類のない巧妙な手際《てぎわ》を有《も》った作者と云わなければなるまいという気を起した。僕の頭にこういう影が射した時、すぐ後《あと》から跟《つ》いて上《あが》って来る高木が、これじゃ暑くってたまらない、御免蒙《
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