《いなずま》に打たれたような思いをする。当りの強く烈《はげ》しく来るのは、彼女の胸から純粋な塊《かた》まりが一度に多量に飛んで出るという意味で、刺《とげ》だの毒だの腐蝕剤《ふしょくざい》だのを吹きかけたり浴びせかけたりするのとはまるで訳が違う。その証拠にはたといどれほど烈《はげ》しく怒《おこ》られても、僕は彼女から清いもので自分の腸《はらわた》を洗われたような気持のした場合が今までに何遍もあった。気高《けだか》いものに出会ったという感じさえ稀《まれ》には起したくらいである。僕は天下の前にただ一人立って、彼女はあらゆる女のうちでもっとも女らしい女だと弁護したいくらいに思っている。

        十二

 これほど好《よ》く思っている千代子を妻《さい》としてどこが不都合なのか。――実は僕も自分で自分の胸にこう聞いた事がある。その時|理由《わけ》も何もまだ考えない先に、僕はまず恐ろしくなった。そうして夫婦としての二人を長く眼前に想像するにたえなかった。こんな事を母に云ったら定めし驚ろくだろう、同年輩の友達に話してもあるいは通じないかも知れない。けれども強《し》いて沈黙のなかに記憶を埋《う
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