》なった片輪に過ぎないので、彼が自分の知る彼らを頭のうちでかように組み合わせたのは、まだ片輪の境遇にまごついている二人に、自然が生みつけた通りの資格を早く与えてやりたいという道義心の要求から起ったのかも知れなかった。
それはこむずかしい理窟《りくつ》だから、たといどんな要求から起ろうと敬太郎のために弁ずる必要はないが、この頃になって偶然千代子の結婚談を耳にした彼が、頭の中の世界と、頭の外にある社会との矛盾に、ちょっと首を捻《ひね》ったのは事実に相違なかった。彼はその話を書生の佐伯《さえき》から聞いたのである。もっとも佐伯のようなものが、まだ事の纏《まと》まらない先から、奥の委《くわ》しい話を知ろうはずがなかった。彼はただ漠然《ばくぜん》とした顔の筋肉をいつもより緊張させて、何でもそんな評判ですと云うだけであった。千代子を貰う人の名前も無論分らなかったが、身分の実業家である事はたしかに思われた。
「千代子さんは須永君の所へ行くのだとばかり思っていたが、そうじゃないのかね」
「そうも行かないでしょう」
「なぜ」
「なぜって聞かれると、僕にも明瞭《めいりょう》な答はでき悪《にく》いんですが
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