とい》の気分の方が、清くて美くしい物を多量に含んでいたらしく考えて、その時味わった痛烈な悲哀をかえって恋しく思った。
七
骨上《こつあげ》には御仙《おせん》と須永《すなが》と千代子とそれに平生《ふだん》宵子《よいこ》の守をしていた清《きよ》という下女がついて都合|四人《よつたり》で行った。柏木《かしわぎ》の停車場《ステーション》を下りると二丁ぐらいな所を、つい気がつかずに宅《うち》から車に乗って出たので時間はかえって長くかかった。火葬場の経験は千代子に取って生れて始めてであった。久しく見ずにいた郊外の景色《けしき》も忘れ物を思い出したように嬉《うれ》しかった。眼に入るものは青い麦畠《むぎばたけ》と青い大根畠と常磐木《ときわぎ》の中に赤や黄や褐色を雑多に交ぜた森の色であった。前へ行く須永は時々|後《うしろ》を振り返って、穴八幡《あなはちまん》だの諏訪《すわ》の森《もり》だのを千代子に教えた。車が暗いだらだら坂へ来た時、彼はまた小高い杉の木立の中にある細長い塔を千代子のために指《ゆびさ》した。それには弘法大師《こうぼうだいし》千五十年|供養塔《くようとう》と刻《きざ》
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