取られた宵子は、湯の中に五六分|浸《つ》けられていた。三人は息を殺して柔らかい皮膚の色を見つめていた。「もう好いでしょう。余《あん》まり長くなると……」と云いながら、医者は宵子を盥《たらい》から出した。母はすぐ受取ってタオルで鄭寧《ていねい》に拭いて元の着物を着せてやったが、ぐたぐたになった宵子の様子に、ちっとも前と変りがないので、「少しの間このまま寝かしておいてやりましょう」と恨《うら》めしそうに松本の顔を見た。松本はそれがよかろうと答えたまま、また座敷の方へ取って返して、来客を玄関に送り出した。
小《ち》さい蒲団《ふとん》と小さい枕がやがて宵子のために戸棚《とだな》から取り出された。その上に常の夜の安らかな眠に落ちたとしか思えない宵子の姿を眺《なが》めた千代子は、わっと云って突伏《つっぷ》した。
「叔母さんとんだ事をしました……」
「何も千代ちゃんがした訳じゃないんだから……」
「でもあたしが御飯を喫《た》べさしていたんですから……叔父さんにも叔母さんにもまことにすみません」
千代子は途切《とぎ》れ途切れの言葉で、先刻《さっき》自分が夕飯《ゆうめし》の世話をしていた時の、平生《
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