りません」
「じゃ性質はどんな性質でしょう」
性質なら敬太郎にもほぼ見当《けんとう》がついていた。「穏《おだ》やかな人らしく思いました」と観察の通りを答えた。
「若い女と話しているところを見て、そう云うんじゃありませんか」
こう云った時、田口の唇《くちびる》の角に薄笑の影がちらついているのを認めた敬太郎は、何か答えようとした口をまた塞《ふさ》いでしまった。
「若い女には誰でも優《やさ》しいものですよ。あなただって満更《まんざら》経験のない事でもないでしょう。ことにあの男と来たら、人一倍そうなのかも知れないから」と田口は遠慮なく笑い出した。けれども笑いながらちゃんと敬太郎の上に自分の眼を注いでいた。敬太郎は傍《はた》で自分を見たらさぞ気の利《き》かない愚物《ぐぶつ》になっているんだろうと考えながらも、やっぱり苦しい思いをして田口と共に笑わなければいられなかった。
「じゃ女は何物なんでしょう」
田口はここで観察点を急に男から女へ移した。そうして今度は自分の方で敬太郎にこういう質問を掛けた。敬太郎はすぐ正直に「女の方は男よりもなお分り悪《にく》いです」と答えてしまった。
「素人《しろう
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