れた蛇《へび》の頭に移った。その瞬間に、鱗《うろこ》のぎらぎらした細長い胴と、匙《さじ》の先に似た短かい頭とを我知らず比較して、胴のない鎌首《かまくび》だから、長くなければならないはずだのに短かく切られている、そこがすなわち長いような短かいような物であると悟った。彼はこの答案を稲妻《いなずま》のごとく頭の奥に閃《ひら》めかして、得意の余り踴躍《こおどり》した。あとに残った「出るような這入《はい》るような」ものは、大した苦労もなく約五分の間に解けた。彼は鶏卵《たまご》とも蛙《かえる》とも何とも名状しがたい或物が、半《なか》ば蛇の口に隠れ、半ば蛇の口から現われて、呑《の》み尽されもせず、逃《のが》れ切りもせず、出るとも這入るとも片のつかない状態を思い浮かべて、すぐこれだと判断したのである。
 これで万事が綺麗《きれい》に解決されたものと考えた敬太郎は、躍《おど》り上るように机の前を離れて、時計の鎖を帯に絡《から》んだ。帽子は手に持ったまま、袴《はかま》も穿《は》かずに室《へや》を出ようとしたが、あの洋杖《ステッキ》をどうして持って出たものだろうかという問題がちょっと彼を躊躇《ちゅうちょ》さ
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