そう》したものだが、洋杖が二人を繋《つな》ぐ縁に立っていると解釈しても、あるいは二人の中を割《さ》く邪魔に挟《はさ》まっていると見傚《みな》しても、とにかく森本とこの竹の棒の間にはある距離《へだたり》があって、そう一足飛《いっそくとび》に片方から片方へ移る訳に行かなかったのに、今ではそれが一つになって、森本と云えば洋杖、洋杖と云えば森本というくらい劇《はげ》しく敬太郎の頭を刺戟《しげき》するのである。その刺戟を受けた彼の頭に、自分の所有のようなまた森本の所有のような、持主のどっちとも片づかないという観念が、熱《ほて》った血に流されながら偶然浮び上った時、彼はああこれだと叫んで、乱れ逃げる黒い影の内から、その洋杖だけをうんと捕《つか》まえたのである。
「自分のような他人《ひと》のような」と云った婆さんの謎《なぞ》はこれで解けたものと信じて、敬太郎は一人嬉しがった。けれどもまだ「長いような短かいような、出るような這入《はい》るような」というところまでは考えて見ないので、彼はあまる二カ条の特性をも等しくこの洋杖の中《うち》から探《さが》し出そうという料簡《りょうけん》で、さらに新たな努力を鼓
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