した。なまじい売卜者《うらないしゃ》の言葉などに動かされて、恥を掻《か》いてはつまらないという後悔も交《まじ》った。すると四日目の午前になって、突然田口から電話口へ呼び出された。
二十
電話口へ出て見ると案外にも主人の声で、今|直《すぐ》来る事ができるかという簡単な問い合わせであった。敬太郎《けいたろう》はすぐ出ますと答えたが、それだけで電話を切るのは何となくぶっきらぼう過ぎて愛嬌《あいきょう》が足りない気がするので、少し色を着けるために、須永《すなが》君から何か御話でもございましたかと聞いて見た。すると相手は、ええ市蔵から御希望を通知して来たのですが、手数《てかず》だから直接に私の方で御都合を伺がいました。じゃ御待ち申しますから、直どうぞ。と云ってそれなり引込《ひっこ》んでしまった。敬太郎はまた例の袴《はかま》を穿《は》きながら、今度こそ様子が好さそうだと思った。それからこの間買ったばかりの中折《なかおれ》を帽子掛から取ると、未来に富んだ顔に生気を漲《みな》ぎらして快豁《かいかつ》に表へ出た。外には白い霜《しも》を一度に摧《くだ》いた日が、木枯《こがら》しにも吹
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