たが、いっこう埒《らち》が明かなかった。敬太郎はとうとうこの禅坊主の寝言《ねごと》に似たものを、手拭《てぬぐい》に包《くる》んだ懐炉《かいろ》のごとく懐中させられて表へ出た。おまけに出がけに七色唐辛子《なないろとうがらし》を二袋買って袂《たもと》へ入れた。
翌日彼は朝飯《あさはん》の膳《ぜん》に向って、煙の出る味噌汁椀《みそしるわん》の蓋《ふた》を取ったとき、たちまち昨日《きのう》の唐辛子を思い出して、袂《たもと》から例の袋を取り出した。それを十二分に汁《しる》の上に振りかけて、ひりひりするのを我慢しながら食事を済ましたが、婆さんの云わゆる「陰陽の理によって現われた大きな形」と頭の中に呼び起して見ると、まだ漠然《ばくぜん》と瓦斯《ガス》のごとく残っていた。しかし手のつけようのない謎《なぞ》に気を揉《も》むほど熱心な占《うら》ない信者でもないので、彼はどうにかそれを解釈して見たいと焦心《あせ》る苦悶《くもん》を知らなかった。ただその分らないところに妙な趣《おもむき》があるので、忘れないうちに、婆さんの云った通りを紙片《かみぎれ》に書いて机の抽出《ひきだし》へ入れた。
もう一遍田口に会
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