で器械のように見える。
「あれは何日《いくか》掛ったら抜けるだろう」と碌さんが圭さんに質問をかける。
「一生懸命にやったら半日くらいで済むだろう」
「そうは行くまい」と碌さんが反対する。
「そうかな。じゃ一日《いちんち》かな」
「一日や二日《ふつか》で奇麗《きれい》に抜けるなら訳《わけ》はない」
「そうさ、ことによると一週間もかかるかね。見たまえ、あの丁寧に顋を撫《な》で廻しながら抜いてるのを」
「あれじゃ。古いのを抜いちまわないうちに、新しいのが生《は》えるかも知れないね」
「とにかく痛い事だろう」と圭さんは話頭《わとう》を転じた。
「痛いに違いないね。忠告してやろうか」
「なんて」
「よせってさ」
「余計な事だ。それより幾日《いくか》掛ったら、みんな抜けるか聞いて見ようじゃないか」
「うん、よかろう。君が聞くんだよ」
「僕はいやだ、君が聞くのさ」
「聞いても好《い》いがつまらないじゃないか」
「だから、まあ、よそうよ」と圭さんは自己の申《もう》し出《だ》しを惜気《おしげ》もなし撤回した。
一度|途切《とぎ》れた村鍛冶《むらかじ》の音は、今日山里に立つ秋を、幾重《いくえ》の稲妻《い
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