人があります。これが私なら、魂と云う字を手の平へ書いて坊さんに見せてやろうと思います。それと同じ事で客観的に愛が見られるなら、客観的に愛を書いて見ろと云われるなら、ただ愛[#「愛」に白丸傍点]とかいて見せます。甘[#「甘」に白丸傍点]いとか、辛[#「辛」に白丸傍点]いとか書くのと同じ意味で書いて見せます。白[#「白」に白丸傍点]いとか黒[#「黒」に白丸傍点]いとかいう意味で書いて見せます。しかし愛[#「愛」に白丸傍点]の一字じゃいけないから、もっと長く分るように書いて見ろと云われるなら、それじゃ小説でもかこうと申します。それが茶かすようで気に入らなければ、そんな無理を云わないで、誰それの愛を書けと明暸《めいりょう》に所有主を示して貰《もら》いたい、いくら僕が愛の客観的存在を認めても、ただの愛はかけない、根こぎにして引っこ抜いた愛だけはかけない、根こぎにして引っこ抜いた鉢植《はちうえ》の松を描《か》けという難題と同じ事だからと云ってごめんこうむります。それじゃ主観の叙述はほとんどなくなる訳だとまたおっしゃるかも知れませぬが、前から何遍も申す通り無論あるところでは主観も客観も双方一致してい
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