ら、口の先では熱烈な恋だなどと云うのがあります。そうかと思うと持参金が欲しいような気分を打ち消して、なにあの令嬢の淑徳《しゅくとく》を慕うのさとすましきっています。それで偽善でも何でもない、両方共|真面目《まじめ》だから面白いものです。そこで我々のような観察力の鈍いものは、なるべく修養の功を積んで、それから、大胆な勇猛心を起して、赤裸々《せきらら》なところを恐れずに書く事を力《つと》める必要が出て参ります。
それでは今日の文学に客観的態度が必要ならば、客観的態度によって、どんな事を研究したらよかろうと云う問題になります。私は私の気のついた数カ条を御参考のために述べて、結末をつけます。
第一は性格の描写についてであります。これは小説とか劇とかに必要なもので、作家がこの点において成功すれば、過半の仕事はすでに結了したものとまで思われております。そこで俗に成功した性格とはどんなものかと調べて見ると活動の二字に帰着してしまいます。またどう考えてもこの二字以外には出られないように思います。しかし、活動にもいろいろあるがいかなる意味の活動か一と口に云えるかと聞かれると、少し臆断《おくだん》過ぎ
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