ニ岩佐又兵衛《いわさまたべえ》のかいた、鬼《おに》の念仏《ねんぶつ》が、念仏をやめて、踊りを踊っている姿である。本堂の端《はじ》から端まで、一列に行儀よく並んで躍《おど》っている。その影がまた本堂の端から端まで一列に行儀よく並んで躍っている。朧夜《おぼろよ》にそそのかされて、鉦《かね》も撞木《しゅもく》も、奉加帳《ほうがちょう》も打ちすてて、誘《さそ》い合《あわ》せるや否やこの山寺《やまでら》へ踊りに来たのだろう。
近寄って見ると大きな覇王樹《さぼてん》である。高さは七八尺もあろう、糸瓜《へちま》ほどな青い黄瓜《きゅうり》を、杓子《しゃもじ》のように圧《お》しひしゃげて、柄《え》の方を下に、上へ上へと継《つ》ぎ合《あわ》せたように見える。あの杓子がいくつ継《つな》がったら、おしまいになるのか分らない。今夜のうちにも廂《ひさし》を突き破って、屋根瓦の上まで出そうだ。あの杓子が出来る時には、何でも不意に、どこからか出て来て、ぴしゃりと飛びつくに違いない。古い杓子が新しい小杓子を生んで、その小杓子が長い年月のうちにだんだん大きくなるようには思われない。杓子と杓子の連続がいかにも突飛《とっぴ
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