ウつ》する。腰を屈《かが》める途端《とたん》に、三尺帯に落《おと》した鉈《なた》の刃《は》がぴかりと光った。四十|恰好《がっこう》の逞《たくま》しい男である。どこかで見たようだ。男は旧知のように馴々《なれなれ》しい。
「旦那《だんな》も画を御描《おか》きなさるか」余の絵の具箱は開《あ》けてあった。
「ああ。この池でも画《か》こうと思って来て見たが、淋《さみ》しい所だね。誰も通らない」
「はあい。まことに山の中で……旦那あ、峠《とうげ》で御降《おふ》られなさって、さぞ御困りでござんしたろ」
「え? うん御前《おまえ》はあの時の馬子《まご》さんだね」
「はあい。こうやって薪《たきぎ》を切っては城下《じょうか》へ持って出ます」と源兵衛は荷を卸《おろ》して、その上へ腰をかける。煙草入《たばこいれ》を出す。古いものだ。紙だか革《かわ》だか分らない。余は寸燐《マッチ》を借《か》してやる。
「あんな所を毎日越すなあ大変だね」
「なあに、馴れていますから――それに毎日は越しません。三日《みっか》に一|返《ぺん》、ことによると四日目《よっかめ》くらいになります」
「四日に一|返《ぺん》でも御免だ」
「ア
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