ツうちに、そろそろ退屈を感じだした。しきりに寝返りを打つ。外はいい天気である。障子にあたる日が、次第に影を移してゆく。雀《すずめ》が鳴く。三四郎はきょうも与次郎が遊びに来てくれればいいと思った。
ところへ下女が障子をあけて、女のお客様だと言う。よし子が、そう早く来ようとは待ち設けなかった。与次郎だけに敏捷《びんしょう》な働きをした。寝たまま、あけ放しの入口に目をつけていると、やがて高い姿が敷居の上へ現われた。きょうは紫の袴《はかま》をはいている。足は両方とも廊下にある。ちょっとはいるのを躊躇《ちゅうちょ》した様子が見える。三四郎は肩を床から上げて、「いらっしゃい」と言った。
よし子は障子をたてて、枕元《まくらもと》へすわった。六畳の座敷が、取り乱してあるうえに、けさは掃除《そうじ》をしないから、なお狭苦しい。女は、三四郎に、
「寝ていらっしゃい」と言った。三四郎はまた頭を枕へつけた。自分だけは穏やかである。
「臭くはないですか」と聞いた。
「ええ、少し」と言ったが、べつだん臭い顔もしなかった。「熱がおありなの。なんなんでしょう、御病気は。お医者はいらしって」
「医者はゆうべ来ました
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