嘯ヘおもしろかった。――
雲母《マイカ》か何かで、十六武蔵《じゅうろくむさし》ぐらいの大きさの薄い円盤を作って、水晶《すいしょう》の糸で釣るして、真空《しんくう》のうちに置いて、この円盤の面《めん》へ弧光燈《アークとう》の光を直角にあてると、この円盤が光に圧《お》されて動く。と言うのである。
一座は耳を傾けて聞いていた。なかにも三四郎は腹のなかで、あの福神漬《ふくじんづけ》の缶《かん》のなかに、そんな装置がしてあるのだろうと、上京のさい、望遠鏡で驚かされた昔を思い出した。
「君、水晶の糸があるのか」と小さい声で与次郎に聞いてみた。与次郎は頭を振っている。
「野々宮さん、水晶の糸がありますか」
「ええ、水晶の粉《こ》をね。酸水素|吹管《すいかん》の炎で溶かしておいて、両方の手で、左右へ引っ張ると細い糸ができるのです」
三四郎は「そうですか」と言ったぎり、引っ込んだ。今度は野々宮さんの隣にいる縞の羽織の批評家が口を出した。
「我々はそういう方面へかけると、全然無学なんですが、はじめはどうして気がついたものでしょうな」
「理論上はマクスウェル以来予想されていたのですが、それをレベデフと
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