ト行った。止めるほどの必要もなし、いっしょに行くほどの事件でもないので、二人はしぜん後にのこるわけになった。二人の消極な態度からいえば、のこるというより、のこされたかたちにもなる。
三四郎はまた石に腰をかけた。女は立っている。秋の日は鏡のように濁った池の上に落ちた。中に小さな島がある。島にはただ二本の木がはえている。青い松《まつ》と薄い紅葉がぐあいよく枝をかわし合って、箱庭の趣がある。島を越して向こう側の突き当りがこんもりとどす黒く光っている。女は丘の上からその暗い木陰《こかげ》を指さした。
「あの木を知っていらしって」と言う。
「あれは椎《しい》」
女は笑い出した。
「よく覚えていらっしゃること」
「あの時の看護婦ですか、あなたが今尋ねようと言ったのは」
「ええ」
「よし子さんの看護婦とは違うんですか」
「違います。これは椎――といった看護婦です」
今度は三四郎が笑い出した。
「あすこですね。あなたがあの看護婦といっしょに団扇《うちわ》を持って立っていたのは」
二人のいる所は高く池の中に突き出している。この丘とはまるで縁のない小山が一段低く、右側を走っている。大きな松と御殿
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