エ服した。
論文は現今の文学者の攻撃に始まって、広田先生の賛辞に終っている。ことに文学文科の西洋人を手痛く罵倒《ばとう》している。はやく適当の日本人を招聘《しょうへい》して、大学相当の講義を開かなくっては、学問の最高府たる大学も昔の寺子屋同然のありさまになって、煉瓦石《れんがせき》のミイラと選ぶところがないようになる。もっとも人がなければしかたがないが、ここに広田先生がある。先生は十年一日のごとく高等学校に教鞭《きょうべん》を執って薄給と無名に甘んじている。しかし真正の学者である。学海の新気運に貢献して、日本の活社会と交渉のある教授を担任すべき人物である。――せんじ詰めるとこれだけであるが、そのこれだけが、非常にもっともらしい口吻《こうふん》と燦爛《さんらん》たる警句とによって前後二十七ページに延長している。
その中には「禿《はげ》を自慢するものは老人に限る」とか「ヴィーナスは波から生まれたが、活眼の士は大学から生まれない」とか「博士を学界の名産と心得るのは、海月《くらげ》を田子《たご》の浦《うら》の名産と考えるようなものだ」とかいろいろおもしろい句がたくさんある。しかしそれよりほ
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