かと考えた。打擲《ちょうちゃく》という字は折檻《せっかん》とか虐待《ぎゃくたい》とかいう字と並べて見ると、忌《いま》わしい残酷な響を持っている。嫂は今の女だから兄の行為を全くこの意味に解しているかも知れない。自分が彼女に兄の健康状態を聞いた時、彼女は人間だからいつどんな病気に罹るかも知れないと冷《ひやや》かに云って退《の》けた。自分が兄の精神作用に掛念《けねん》があってこの問を出したのは彼女にも通じているはずである。したがって平生よりもなお冷淡な彼女の答は、美しい己《おの》れの肉に加えられた鞭《むち》の音を、夫の未来に反響させる復讐《ふくしゅう》の声とも取れた。――自分は怖《こわ》かった。
自分は明日《あす》にも番町へ行って、母からでもそっと彼ら二人の近況を聞かなければならないと思った。けれども嫂《あによめ》はすでに明言した。彼ら夫婦関係の変化については何人《なんびと》もまだ知らない、また何人《なんびと》にも告げた事がないと明言した。影のような稲妻《いなずま》のような言葉のうちからその消息をぼんやりと焼きつけられたのは、天下に自分の胸がたった一つあるばかりであった。
なぜあれほど言
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