していたような表情を眉間《みけん》にあつめて、じっと自分の顔を眺めた。

        二十四

 兄妹《きょうだい》として云えば、自分とお重とは余り仲の善《い》い方ではなかった。自分が外へ出る事を、まず第一に彼女に話したのは、愛情のためというよりは、むしろ面当《つらあて》の気分に打勝たれていた。すると見る見るうちにお重の両方の眼に涙がいっぱい溜《たま》って来た。
「早く出て上げて下さい。その代り妾《あたし》もどんな所でも構わない、一日も早くお嫁に行きますから」と云った。
 自分は黙っていた。
「兄さんはいったん外へ出たら、それなり家へ帰らずに、すぐ奥さんを貰って独立なさるつもりでしょう」と彼女がまた聞いた。
 自分は彼女の手前「もちろんさ」と答えた。その時お重は今まで持ち応《こた》えていた涙をぽろりぽろりと膝の上に落した。
「何だって、そんなに泣くんだ」と自分は急に優しい声を出して聞いた。実際自分はこの事件についてお重の眼から一滴の涙さえ予期していなかったのである。
「だって妾ばかり後《あと》へ残って……」
 自分に判切《はっきり》聞こえたのはただこれだけであった。その他は彼女のむ
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