く続いていた。自分達の耳には大きな波の石に砕ける音がどどんどどんと聞えた。三階から見るとその砕けた波が忽然《こつぜん》白い煙となって空《くう》に打上げられる様が、明かに見えた。
 自分達はついにその土手の上へ出た。波は土手のもう一つ先にある厚く築き上げられた石垣に当って、みごとに粉微塵《こみじん》となった末、煮え返るような色を起して空《くう》を吹くのが常であったが、たまには崩《くず》れたなり石垣の上を流れ越えて、ざっと内側へ落ち込んだりする大きいのもあった。
 自分達はしばらくその壮観に見惚《みと》れていたが、やがて強い浪《なみ》の響を耳にしながら歩き出した。その時母と自分は、これが片男波《かたおなみ》だろうと好い加減な想像を話の種に二人並んで歩いた。兄夫婦は自分達より少し先へ行った。二人とも浴衣《ゆかた》がけで、兄は細い洋杖《ステッキ》を突いていた。嫂《あによめ》はまた幅の狭い御殿模様か何かの麻《あさ》の帯を締めていた。彼らは自分達よりほとんど二十間ばかり先へ出ていた。そうして二人とも並んで足を運ばして行った。けれども彼らの間にはかれこれ一間の距離があった。母はそれを気にするような、
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