ふり返って兄に聞いた。
「実際問題と云うと、どういう事になるんですか。ちょっと僕には解らないんですが」
 兄は焦急《じれっ》たそうに説明した。
「つまりその女がさ、三沢の想像する通り本当にあの男を思っていたか、または先の夫に対して云いたかった事を、我慢して云わずにいたので、精神病の結果ふらふらと口にし始めたのか、どっちだと思うと云うんだ」
 自分もこの問題は始めその話を聞いた時、少し考えて見た。けれどもどっちがどうだかとうてい分るべきはずの者でないと諦《あきら》めて、それなり放ってしまった。それで自分は兄の質問に対してこれというほどの意見も持っていなかった。
「僕には解らんです」
「そうか」
 兄はこう云いながら、やっぱり風呂に這入《はい》ろうともせず、そのまま立っていた。自分も仕方なしに裸になるのを控えていた。風呂は思ったより小さくかつ多少古びていた。自分はまず薄暗い風呂を覗《のぞ》き込んで、また兄に向った。
「兄さんには何か意見が有るんですか」
「おれはどうしてもその女が三沢に気があったのだとしか思われんがね」
「なぜですか」
「なぜでもおれはそう解釈するんだ」
 二人はその話の結
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