ったが、こうなると非常に邪魔になる。その上|梯子《はしご》の幅は狭い。段と段の間がすこぶる長い。一段さがるに、普通の倍は骨が折れる。そこへもって来て恐怖が手伝う。そうして握り直すたんびに、段木《だんぎ》がぬらぬらする。鼻を押しつけるようにして、乏しい灯で透《す》かして見ると、へな土が一面に粘《つ》いている。上《のぼ》り下《さが》りの草鞋で踏つけたものと思われる。自分は梯子の途中で、首を横へ出して、下を覗《のぞ》いた。よせば善かったが、つい覗いた。すると急にぐらぐらと頭が廻って、かたく握った手がゆるんで来た。これは死ぬかも知れない。死んじゃ大変だと、噛《かじ》りついたなり、いきなり眼を閉《ねむ》った。石鹸球《シャボンだま》の大きなのが、ぐるぐる散らついてるうちに、初さんが降りて行く。本当を云うと、下を覗いた時にこそ、初さんの姿が見えれば見えるんで、ねぶった眼の前に湧《わ》いて出る石鹸球の中に、初さんがいる訳がない。しかし現にいる。そうして降りて行く。いかにも不思議であった。今考えると、目舞《めまい》のする前に、ちらりと初さんを見たに違ないんだが、ぐらぐらと咄癡《とっち》て、死ぬ方が怖《こ
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