乏《とぼ》しい、潤《うるおい》のない山である。これが夏の日に照りつけられたら、山の奥でもさぞ暑かろうと思われるほど赤く禿《は》げてぐるりと自分を取り捲《ま》いている。そうして残らず雨に濡《ぬ》れている。潤い気《け》のないものが、濡れているんだから、土器《かわらけ》に霧を吹いたように、いくら濡れても濡れ足りない。その癖寒い気持がする。それで自分は首を引っ込めようとしたら、ちょっと眼についた。――手拭《てぬぐい》を被《かぶ》って、藁《わら》を腰に当てて、筒服《つつっぽう》を着た男が二三人、向うの石垣の下にあらわれた。ちょうど昨日《きのう》ジャンボー[#「ジャンボー」に傍点]の通った路を逆に歩いて来る。遠くから見ると、いかにもしょぼしょぼして気の毒なほど憐れである。自分も今朝からああなるんだなと、ふと気がついて見ると、人事《ひとごと》とは思われないほど、向《むこう》へ行く手拭《てぬぐい》の影――雨に濡《ぬ》れた手拭の影が情《なさけ》なかった。すると雨の間からまた古帽子が出て来た。その後《あと》からまた筒袖姿《つつそですがた》があらわれた。何でも朝の番に当った坑夫がシキ[#「シキ」に傍点]へ這
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