ス》く。吾輩は険呑《けんのん》になったから少し傍《そば》を離れる。「その朗読会さ。せんだってトチメンボー[#「トチメンボー」に傍点]を御馳走した時にね。その話しが出たよ。何でも第二回には知名のカ士を招待して大会をやるつもりだから、先生にも是非御臨席を願いたいって。それから僕が今度も近松の世話物をやるつもりかいと聞くと、いえこの次はずっと新しい者を撰《えら》んで金色夜叉《こんじきやしゃ》にしましたと云うから、君にゃ何の役が当ってるかと聞いたら私は御宮《おみや》ですといったのさ。東風《とうふう》の御宮は面白かろう。僕は是非出席して喝采《かっさい》しようと思ってるよ」「面白いでしょう」と寒月君が妙な笑い方をする。「しかしあの男はどこまでも誠実で軽薄なところがないから好い。迷亭などとは大違いだ」と主人はアンドレア・デル・サルトと孔雀《くじゃく》の舌とトチメンボー[#「トチメンボー」に傍点]の復讐《かたき》を一度にとる。迷亭君は気にも留めない様子で「どうせ僕などは行徳《ぎょうとく》の俎《まないた》と云う格だからなあ」と笑う。「まずそんなところだろう」と主人が云う。実は行徳の俎と云う語を主人は解《
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