驍烽フは吾輩であろう。
 東風子が帰ってから、主人が書斎に入って机の上を見ると、いつの間《ま》にか迷亭先生の手紙が来ている。
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「新年の御慶《ぎょけい》目出度《めでたく》申納候《もうしおさめそろ》。……」
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 いつになく出が真面目だと主人が思う。迷亭先生の手紙に真面目なのはほとんどないので、この間などは「其後《そのご》別に恋着《れんちゃく》せる婦人も無之《これなく》、いず方《かた》より艶書《えんしょ》も参らず、先《ま》ず先《ま》ず無事に消光|罷《まか》り在り候《そろ》間、乍憚《はばかりながら》御休心|可被下候《くださるべくそろ》」と云うのが来たくらいである。それに較《くら》べるとこの年始状は例外にも世間的である。
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「一寸参堂仕り度《たく》候えども、大兄の消極主義に反して、出来得る限り積極的方針を以《もっ》て、此千古|未曾有《みぞう》の新年を迎うる計画故、毎日毎日目の廻る程の多忙、御推察願上|候《そろ》……」
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 なるほどあの男の事だから正月は遊び廻るのに忙がしいに違いないと、主人は腹の中で迷亭
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