々へくばります。太陽へも出してもらいます」
「ええ何か作りましょう、いつ頃《ごろ》御|入用《にゅうよう》ですか」
「いつでもいいです。今まで作ったうちでもいいです。その代りです。披露《ひろう》のとき呼んで御馳走《ごちそう》するです。シャンパンを飲ませるです。君シャンパンを飲んだ事がありますか。シャンパンは旨《うま》いです。――先生披露会のときに楽隊を呼ぶつもりですが、東風君の作を譜にして奏したらどうでしょう」
「勝手にするがいい」
「先生、譜にして下さらんか」
「馬鹿云え」
「だれか、このうちに音楽の出来るものはおらんですか」
「落第の候補者寒月君はヴァイオリンの妙手だよ。しっかり頼んで見たまえ。しかしシャンパンくらいじゃ承知しそうもない男だ」
「シャンパンもですね。一瓶《ひとびん》四円や五円のじゃよくないです。私の御馳走するのはそんな安いのじゃないですが、君一つ譜を作ってくれませんか」
「ええ作りますとも、一瓶二十銭のシャンパンでも作ります。なんならただでも作ります」
「ただは頼みません、御礼はするです。シャンパンがいやなら、こう云う御礼はどうです」と云いながら上着の隠袋《かくし》の
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