においては、明かに昔より弱くなったんだろう。強くなるのは嬉しいが、弱くなるのは誰もありがたくないから、人から一毫《いちごう》も犯《おか》されまいと、強い点をあくまで固守すると同時に、せめて半毛《はんもう》でも人を侵《おか》してやろうと、弱いところは無理にも拡《ひろ》げたくなる。こうなると人と人の間に空間がなくなって、生きてるのが窮屈になる。出来るだけ自分を張りつめて、はち切れるばかりにふくれ返って苦しがって生存している。苦しいから色々の方法で個人と個人との間に余裕を求める。かくのごとく人間が自業自得で苦しんで、その苦し紛《まぎ》れに案出した第一の方案は親子別居の制さ。日本でも山の中へ這入って見給え。一家一門《いっけいちもん》ことごとく一軒のうちにごろごろしている。主張すべき個性もなく、あっても主張しないから、あれで済゛のだが文明の民はたとい親子の間でもお互に我儘《わがまま》を張れるだけ張らなければ損になるから勢《いきお》い両者の安全を保持するためには別居しなければならない。欧洲は文明が進んでいるから日本より早くこの制度が行われている。たまたま親子同居するものがあっても、息子《むすこ》が
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