でも出来た時代です。その次には御上の御威光でも[#「でも」に傍点]出来ないものが出来てくる時代です。今の世はいかに殿下でも閣下でも、ある程度以上に個人の人格の上にのしかかる事が出来ない世の中です。はげしく云えば先方に権力があればあるほど、のしかかられるものの方では不愉快を感じて反抗する世の中です。だから今の世は昔《むか》しと違って、御上の御威光だから[#「だから」に傍点]出来ないのだと云う新現象のあらわれる時代です、昔しのものから考えると、ほとんど考えられないくらいな事柄が道理で通る世の中です。世態人情の変遷と云うものは実に不思議なもので、迷亭君の未来記も冗談だと云えば冗談に過ぎないのだが、その辺の消息を説明したものとすれば、なかなか味《あじわい》があるじゃないですか」
「そう云う知己《ちき》が出てくると是非未来記の続きが述べたくなるね。独仙君の御説のごとく今の世に御上の御威光を笠《かさ》にきたり、竹槍の二三百本を恃《たのみ》にして無理を押し通そうとするのは、ちょうどカゴへ乗って何でも蚊《か》でも汽車と競争しようとあせる、時代後れの頑物《がんぶつ》――まあわからずやの張本《ちょうほん》
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