した」
「やっぱりもとのところじゃないか」
「まあ先生そう焦《せ》かずに聞いて下さい。それから約三四時間夜具の中で辛抱《しんぼう》して、今度こそもうよかろうとぬっと首を出して見ると、烈しい秋の日は依然として六尺の障子へ一面にあたって、上の方に細長い影がかたまって、ふわふわしている」
「いつまで行っても同じ事じゃないか」
「それから床を出て障子を開けて、椽側《えんがわ》へ出て甘干しの柿を一つ食って……」
「また柿を食ったのかい。どうもいつまで行っても柿ばかり食ってて際限がないね」
「私もじれったくてね」
「君より聞いてる方がよっぽどじれったいぜ」
「先生はどうも性急《せっかち》だから、話がしにくくって困ります」
「聞く方も少しは困るよ」と東風君も暗《あん》に不平を洩《も》らした。
「そう諸君が御困りとある以上は仕方がない。たいていにして切り上げましょう。要するに私は甘干しの柿を食ってはもぐり、もぐっては食い、とうとう軒端《のきば》に吊《つ》るした奴をみんな食ってしまいました」
「みんな食ったら日も暮れたろう」
「ところがそう行かないので、私が最後の甘干しを食って、もうよかろうと首を出して
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