と思ってるの」
細君と雪江さんはこの名答を得て、あまりの事に問い返す勇気もなく、どっと笑い崩れた時に、次女のすん子が姉さんに向ってかような相談を持ちかけた。
「御ねえ様も招魂社がすき? わたしも大すき。いっしょに招魂社へ御嫁に行きましょう。ね? いや? いやなら好《い》いわ。わたし一人で車へ乗ってさっさと行っちまうわ」
「坊ばも行くの」とついには坊ばさんまでが招魂社へ嫁に行く事になった。かように三人が顔を揃《そろ》えて招魂社へ嫁に行けたら、主人もさぞ楽であろう。
ところへ車の音ががらがらと門前に留ったと思ったら、たちまち威勢のいい御帰りと云う声がした。主人は日本堤分署から戻ったと見える。車夫が差出す大きな風呂敷包を下女に受け取らして、主人は悠然《ゆうぜん》と茶の間へ這入《はい》って来る。「やあ、来たね」と雪江さんに挨拶しながら、例の有名なる長火鉢の傍《そば》へ、ぽかりと手に携《たずさ》えた徳利様《とっくりよう》のものを抛《ほう》り出した。徳利様と云うのは純然たる徳利では無論ない、と云って花活《はない》けとも思われない、ただ一種異様の陶器であるから、やむを得ずしばらくかように申したの
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