、とうとう落第してしまったわ」
「保険社員もそう云うのよ。寿命は自分の自由にはなりません。決心で長《な》が生《い》きが出来るものなら、誰も死ぬものはございませんって」
「保険会社の方が至当《しとう》ですわ」
「至当でしょう。それがわからないの。いえ決して死なない。誓って死なないって威張るの」
「妙ね」
「妙ですとも、大妙《おおみょう》ですわ。保険の掛金を出すくらいなら銀行へ貯金する方が遥《はる》かにましだってすまし切っているんですよ」
「貯金があるの?」
「あるもんですか。自分が死んだあとなんか、ちっとも構う考なんかないんですよ」
「本当に心配ね。なぜ、あんななんでしょう、ここへいらっしゃる方《かた》だって、叔父さんのようなのは一人もいないわね」
「いるものですか。無類ですよ」
「ちっと鈴木さんにでも頼んで意見でもして貰うといいんですよ。ああ云う穏《おだ》やかな人だとよっぽど楽《らく》ですがねえ」
「ところが鈴木さんは、うちじゃ評判がわるいのよ」
「みんな逆《さか》なのね。それじゃ、あの方《かた》がいいでしょう――ほらあの落ちついてる――」
「八木さん?」
「ええ」
「八木さんには大分
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