チて駄目だ。円滑《えんかつ》円滑と云うが、円滑の意味も何もわかりはせんよ。迷亭が金魚麩ならあれは藁《わら》で括《くく》った蒟蒻《こんにゃく》だね。ただわるく滑《なめら》かでぶるぶる振《ふる》えているばかりだ」
主人はこの奇警《きけい》な比喩《ひゆ》を聞いて、大《おおい》に感心したものらしく、久し振りでハハハと笑った。
「そんなら君は何だい」
「僕か、そうさな僕なんかは――まあ自然薯《じねんじょ》くらいなところだろう。長くなって泥の中に埋《うま》ってるさ」
「君は始終泰然として気楽なようだが、羨《うらや》ましいな」
「なに普通の人間と同じようにしているばかりさ。別に羨まれるに足るほどの事もない。ただありがたい事に人を羨む気も起らんから、それだけいいね」
「会計は近頃豊かかね」
「なに同じ事さ。足るや足らずさ。しかし食うているから大丈夫。驚かないよ」
「僕は不愉快で、肝癪《かんしゃく》が起ってたまらん。どっちを向いても不平ばかりだ」
「不平もいいさ。不平が起ったら起してしまえば当分はいい心持ちになれる。人間はいろいろだから、そう自分のように人にもなれと勧めたって、なれるものではない。箸《
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