が化物の記述だ。大分《だいぶ》骨が折れる。天水桶の方に、突っ立っている若造《わかぞう》が二人いる。立ったまま、向い合って湯をざぶざぶ腹の上へかけている。いい慰《なぐさ》みだ。双方共色の黒い点において間然《かんぜん》するところなきまでに発達している。この化物は大分《だいぶ》逞ましいなと見ていると、やがて一人が手拭で胸のあたりを撫《な》で廻しながら「金さん、どうも、ここが痛んでいけねえが何だろう」と聞くと金さんは「そりゃ胃さ、胃て云う奴は命をとるからね。用心しねえとあぶないよ」と熱心に忠告を加える。「だってこの左の方だぜ」た左肺《さはい》の方を指す。「そこが胃だあな。左が胃で、右が肺だよ」「そうかな、おらあまた胃はここいらかと思った」と今度は腰の辺を叩《たた》いて見せると、金さんは「そりゃ疝気《せんき》だあね」と云った。ところへ二十五六の薄い髯《ひげ》を生《は》やした男がどぶんと飛び込んだ。すると、からだに付いていた石鹸《シャボン》が垢《あか》と共に浮きあがる。鉄気《かなけ》のある水を透《す》かして見た時のようにきらきらと光る。その隣りに頭の禿《は》げた爺さんが五分刈を捕《とら》えて何か弁
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