淌のつくり」、第3水準1−84−54]※[#「りっしんべん+兄」、第3水準1−84−45]《しょうきょう》したり独《ひと》りでむずかしがらないで、篤《とく》と気を落ちつけて珠《たま》を磨《す》るがいいよ」といやに異見めいた事を述べると、寒月君は「ええなるべく珠ばかり磨っていたいんですが、向うでそうさせないんだから弱り切ります」とわざと辟易《へきえき》したような顔付をする。「そうさ、君などは先方が騒ぎ立てるんだが、中には滑稽なのがあるよ。あの図書館へ小便をしに来た老梅《ろうばい》君などになるとすこぶる奇だからね」「どんな事をしたんだい」と主人が調子づいて承《うけたま》わる。「なあに、こう云う訳さ。先生その昔静岡の東西館へ泊った事があるのさ。――たった一と晩だぜ――それでその晩すぐにそこの下女に結婚を申し込んだのさ。僕も随分|呑気《のんき》だが、まだあれほどには進化しない。もっともその時分には、あの宿屋に御夏《おなつ》さんと云う有名な別嬪《べっぴん》がいて老梅君の座敷へ出たのがちょうどその御夏さんなのだから無理はないがね」「無理がないどころか君の何とか峠とまるで同じじゃないか」「少し似てい
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